人類の言語の誕生・起源はいつ?

人類史家(シカ)

人類の言語が「いつ誕生したか?」というのは、多くの人にとって興味の対象です。

AI(アイ)

言語の起源については不明は部分も多くある一方、多くの仮説が提唱されていますね。

人類史家(シカ)

今回は、そんな人類の言語の誕生や起源についてみていきます。

AI(アイ)

人類の言語の起源は、「科学における最難問」のひとつと呼ばれています。これは、石器や骨とは異なり、言葉は化石として残らないためです。しかし近年では、人類学や言語学、遺伝学、脳科学の進歩により、その謎のベールが少しずつ剥がされつつあります。

目次

言語の定義

人類史家(シカ)

言語の歴史を考える上で、「そもそも、言語とは何か?」という部分を明確にしておく必要があります。言語の主な定義としては、主に以下の要素が挙げられます。

【言語の主な定義】
・記号性:音や文字が意味を持つ
・文法性規則に基づいて結合される
・生産性無限の表現が可能
・抽象性今ここにないものも表現できる

AI(アイ)

言語とは、単なる「音」ではなく、「意味を持ち、規則があり、様々な表現ができるツール」ということができますね。

人類史家(シカ)

そのとおりです。「音」を出すだけの動物ならイヌやネコ、またはクジラやオウムなど様々な生き物でも可能ですが、上で挙げた要素を満たす「音」、すなわち言語を持っているのはヒトのみです。

言語を可能とする身体的な前提条件

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言語の定義は上で挙げたとおりですが、ヒトが言語を駆使するためには必要となる条件があります。

人類史家(シカ)

その条件とは、「(a)身体の条件」と「(b)脳の条件」のふたつですね。

(a)身体の前提条件…喉の構造と発生能力
人類は直立二足歩行を始めたことで、喉の位置が下がり、咽頭(いんとう)という広い空間が確保されました。これにより、チンパンジーなど他の霊長類には不可能な、多様で複雑な母音・子音の出し分けが可能になりました。また、舌の可動域が広くなり、呼吸制御が高度化したことも要因となりました。

(b)脳の前提条件…脳の巨大化と特定領域の発達
単なる「叫び声」を「意味のある構造(文法)」に変えるには、高度な処理能力が必要です。そのため、脳内の以下の領域の発達が必要でした。

・前頭葉、側頭葉
思考や計画、音の理解を担当する領域です。

ブローカ野
言語の産出(話すこと)を担当する領域です。

ウェルニッケ野
言語の理解を担当する領域です。これらの領域が発達したことで、音に複雑な意味を持たせることが可能になりました。

AI(アイ)

これらの身体と脳の変化・発達が、人類の言語の獲得の前提条件になったということですね。

人類史家(シカ)

そのとおりです。ただし、人類が言葉を話せるようになるためには、もうひとつの大きな変化が必要でした。それが、「FOXP2(フォックス ピー ツー)遺伝子」です。

FOXP2遺伝子の変異(人類の言語獲得に大きな影響を与えた要因)

人類史家(シカ)

FOXP2(Forkhead Box P2)は、「人類の言語能力の進化」を語る上で最も有名な遺伝子のひとつですが、実態はかなり奥深く、誤解も多いテーマです。

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しばしば「言語遺伝子」というキャッチーな名前で呼ばれることもありますが、実際には「他の遺伝子の働きを制御する司令塔(転写因子)」としての役割を持つタンパク質を作る遺伝子ですね。

人類史家(シカ)

ええ。主に脳や発声に関わる神経回路の形成に関与しており、「言語そのもの」ではなく、“言語に必要な能力の基盤”を作る遺伝子です。

 FOXP2が注目されたのは、研究結果によるものです。ある家族(家系3世代)の約半数が重度の言語障害を患っており、文法の理解や発話が困難で、舌や口の運動制御にも障害がありました。

 その原因はFOXP2遺伝子の突然変異であり、これがきっかけとなってFOXP2遺伝子が文法能力や発話運動の制御、音の並びの処理に深く関与していることが分かりました。

AI(アイ)

人間のFOXP2は、チンパンジーやゴリラと比べてわずか2ヶ所のアミノ酸変異があり、このたった2ヶ所の変化が重要だと考えられています。

【言語進化におけるFOXP2遺伝子の位置づけ】
①発声の精密化:音のコントロール
②学習能力の向上:模倣・発音習得
③文法処理の基盤:シーケンス(時系列)処理

言語はいつ誕生したか

人類史家(シカ)

「言語がいつ誕生したか」という時期・起源に関しては、180万年~20万年前にホモ・エレクトゥスが登場した頃と考えられています。ただし、この時代は160万年ほどの期間があり、初期と後期とでその度合いが異なると考えが一般的です。

(関連記事:人類の誕生・起源と700万年の進化の歴史 > 180万年~20万年前:ホモ・エレクトゥスの登場

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様々な学説がありますが、おおよその仮説をまとめると以下のようになります。

▼約180万年前:
初期のホモ・エレクトゥスがプロト言語(単語レベル)を話す。文法はなく、身振りと音を組み合わせて「肉」や「行く」といった単純な意思表示をしていたと考えられています。

▼約100万年~50万年前:
中期・後期のホモ・エレクトゥスが火を利用し始め、焚き火を囲んで複雑な会話が発達したと考えられています。

▼約30万年~20万年前:
後期のホモ・エレクトゥスや初期のホモ・サピエンスが、現代的言語(文法・抽象概念)を駆使して過去や未来といった「目に見えないもの」も単純なものであれば語れるようになりつつあったと考えられています。

神話や虚構・空想を語りだす「認知革命」

人類史家(シカ)

人類の言語の「誕生・起源」という意味では、ここまで見てきたように180万年~20万年前が開始といえますが、この当時は簡単な文法や単純な過去・現在・未来が話せる程度でした。

AI(アイ)

現在の人類の場合、さらに神話や虚構・空想といった物語も考え、語ることができますね。

人類史家(シカ)

それができるようになったのが、今から約7万年前に起きたといわれる、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリが主張する「認知革命」です。

Q.ユヴァル・ノア・ハラリが主張する「認知革命」とは?

・神話・宗教・伝説をつくり、共有できる。
・存在しないもの(国家・組織・貨幣の価値・神・ルール)を信じられる。
・大規模な協力(数百〜数万人規模)ができる。

すなわち、単なる言語ではなく、「虚構を共有する能力」を身に付けた出来事を指します。

この認知革命により、今の人類と同様の能力を獲得したと考えられています。

AI(アイ)

「なぜ7万年だったのか?」という点については完全には解明されていませんが、「言語の複雑化」「社会規模の拡大」「脳の進化」などが仮説として挙げられています。

【神話や虚構・空想が人類に与えた影響】

「あの木には精霊が宿っている」や「私たちは同じ神の子だ」という目に見えない虚構(フィクション)を共有できるようになると、血縁関係のない見ず知らずの人間同士が、共通のルールの下で団結できるようになります。これが、ホモ・サピエンスが文明を築く決定的な「最強のソフトウェア」となりました。

人類史家(シカ)

この「虚構を信じる力」が、その後の農耕社会や国家の誕生に繋がっていくことになります。

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